見方(価値判断)


◆ ノット数による判断

 ノット(結び)には、シングルノットとダブルノットがありますが、パキスタンのカーペットは基本的にはシングルノットであり、ノットの呼び方は、9/18、10/20、11/22、12/24というように区別されます。これを例えれば10/20であれば、縦糸10本、横糸20本が1平方インチの中にあるということになります。また、パキスタンではペルシャのカーペットのまねをしてダブルノットのカーペットも作っており、この場合は縦糸が2本ずつ(本来の縦糸の下に更にもう一本)入るので、ノット数の呼び方は16/18、18/20、20/20と呼ばれる。どちらの場合もノット数が多いほど手間がかかっている分、価値があるといわれますが、裏側の全体を眺めて目の詰まり方が悪かったり、全体の均一性を注意する必要があります。実際ノット数が細かいほど、デザインがはっきりしてきますし、特に曲線が綺麗に出ます。また、ノットが細かいほど、パイルを薄く刈り込むことができます。カーペットの厚さも一つの価値の判断基準となります。しかし結局は買う人の趣味が先行するもので、ノット数だけで物の善し悪しは決められません。


◆ 糸の質と太さによる価値判断

 手織りのカーペットといえば、羊毛、絹が使われますが、勿論絹のほうが高く、一般的には高級品といわれますが、折角の絹の価値が、織り方、デザイン等でスポイルされていることもあり、これも一つの判断基準でしかありません。 次に糸の太さは、細い糸が使われているほど良いとされています。目の詰まったカーペットを織るためには、細い縦糸横糸を使う必要があり、当然高級品は、細い糸を使います。しかし太い糸にはそれなりの素朴な感じが出て、これもやはり糸の太さだけでは、カーペットの価値は決められません。


◆ デザインによる価値判断

 デザインの善し悪しは、購入者自身の好き嫌いでの次元の問題で、我々が価値判断を下すことはできせんが、一般的には理想的なバランスがあって、なんとなく不安定な感じとかがあるときにはバランスが大いに影響しています。これは色使いのバランスも同じ事がいえます。何枚もカーペットを見ているうちに少しずつわかってくるもので、良いものはおのずと語りかけてきます。


◆ 製造年数による価値判断

 カーペットは古いものほどその価値が高まる美術品といわれています。百年以上経たものをアンティーク、60年以上100年未満のものをセミ・アンティーク、25年から60年のものをオールドと呼んでいます。このような特殊なカーペットは、古いものゆえに、補修の傷跡、虫食い等が無いか充分に確かめる必要があります。


◆ 輸入ウールとローカルウール

 パキスタンのウールカーペットには、輸入ウールとローカルウールの2種類があります。本来パキスタンのカーペットは、豪州、ニュージーランドから輸入したウールを毛糸にしてカーペットを織り、更にケミカル洗浄を行なって、カーペットに光沢をもたせたものが主流です。もともと北部のカシミール地方では主食用肉として羊の飼育が行なわれており、羊の毛はローカルウールとしてカーペットに使用されています。ローカルウールのカーペットは光沢が少なく、繊維が粗くて堅く一目で輸入ウールとは識別できます。 パキスタンの光沢のあるカーペットは未だ根強い人気があるが、最近はカーペットの寿命がケミカル洗浄によって著しく短くなることでケミカル洗浄の通常の2工程を1工程に減らしたハーフウォッシュものが増えてきています。更に光沢ものに飽きた市場向けには、ローカルウールものが人気を得ています。ローカルウールものはパイルがとってもしっかりしていて、きりっと一本一本が立っており、輸入ウールものと比べ味わいがありますし、勿論寿命が長く、値段も安い。最近、このローカルウールものを輸入ウールもののハーフ洗浄として売っている業者がいますが、見た目には非常に良く似ており注意が必要です。識別方法は、ローカルものはパイルの繊維が太目で短く粗く、輸入物はパイルの繊維が細く長く軟らかい。日本向けは、未だに光沢のある輸入ウールものが主流ですが、欧州、米国向けではローカルウールのシェアが年々増えてきています。 ここでは、ウールの種類の説明を行ないましたが、これも買う人の趣味が大いに影響するもので、ローカルウールであるから駄目ということではありません。 最近、シルクと称して、ポリエステル繊維を織り込んだものもありますので注意が必要です。実際パイルを抜いて燃やしてみれば臭いが違うので区別できます。シルクは蛋白質を燃やした独特の臭いがします。見た目にも変に白く光っているので(人工的な光沢)慣れてくると見ただけでわかります。

立英カーペット株式会社

当社は、設立以来49年手織り絨毯の輸入卸を行っております